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2018年問題(3)改正労働派遣法の影響 【ニュースのコトバ解説】

2つの「2018年問題」のうち、1回目では「18歳人口の減少」について、前回は「改正労働契約法と改正労働派遣法による有期雇用労働者(派遣社員など)に関する問題」について取り上げました。同シリーズの最終回となる今回は、2015年の改正労働派遣法の影響について解説していきます。
 

専門「26業務」の派遣労働者は3年

一方、2015年の改正労働派遣法の影響とはどのようなものでしょうか。この改正法では、ソフトウェア開発や財務処理、通訳など高い専門性をもつ「26業務」で大きく変化がありました。26業務の派遣期間が3年までとなったため、施行された2015年9月末から3年が経つ2018年9月末以降、無期転換や異動といった選択をしなくてはならないケースが出てくるのです。

改正法では、26業務への労働者派遣には期間制限を設けない仕組みが見直され、期間の定めのある労働者の場合、すべての業務で、派遣先の同一の事業所に派遣できる期間は原則3年が限度となりました。

そのため、派遣先が3年を超えて派遣を受け入れようとする場合、派遣先の事業所の過半数労働組合または過半数代表者からの意見を聴く必要があります。また、同一の派遣労働者を、派遣先の事業所の同一の課やグループといった組織単位に対して派遣できる期間も3年が限度となりました。

つまり、改正法が施行された2015年9月末より前から26業務で派遣されていた労働者は、同一業務を続けるには無期転換するか、派遣先が派遣期間の延長手続きをしていた場合でも別の組織単位に異動しない限りは2018年9月末で現在の業務を辞めざるを得ないわけです。
 

派遣元には努力義務がある

ただし、派遣元には、派遣労働者が辞めざるをえない状況にならないようにする努力義務があります。派遣元は、同一の組織単位に継続して1年以上派遣される見込みがあるなど一定の場合に、派遣労働者の派遣終了後の雇用を継続させるための「雇用安定措置」を講じることが求められます。3年間派遣される見込みがある労働者は義務として、1年以上3年未満の場合は努力義務として、
(1)派遣先への直接雇用の依頼
(2)新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
(3)派遣元事業主による無期雇用
(4)その他雇用の安定を図るために必要な措置を講じること
このいずれかが求められます。特に本人が派遣先での直接雇用を希望する場合は、派遣先への直接雇用の依頼を行い、直接雇用が実現するよう努めなければなりません。

派遣元が、いわゆる26業務に従事している有期雇用の派遣労働者に、改正法の施行を理由に雇止めを行ってはいけません。不当な雇止めにあわれた場合は、各都道府県の労働局にある相談窓口に問い合わせるとよいでしょう。

(写真はイメージ)