ジビエ利用モデル地区 北海道から鹿児島まで17地区選定

ジビエ利用モデル地区 北海道から鹿児島まで17地区選定

農林水産省は、シカやイノシシなど野生の鳥獣肉、いわゆるジビエの利用先駆的モデルとなる「ジビエ利用モデル地区」を選定、9日に発表した。各地区の特色をいかした方策を打ち出し、安全で良質なジビエの安定供給を目指す。

今回「ジビエ利用モデル地区」に選ばれたのは、北海道の空知そらち地区、長野県長野市、岡山県美作みまさか地区、鹿児島県阿久根あくね地区など、北海道から九州までの17地区。各地区ではジビエ利用のためのコンソーシアム(共同事業体)や協議会などを設立し、国内で先導的モデルとなる取り組みを定めたマスタープランを策定している。長野県長野市では、2016年度の時点ではジビエ利用はゼロだったが、ジビエカー(移動式解体処理車)やICTの活用により2019年度までにシカ、イノシシ1000頭の利用を目指す。また、大分県では県内全域での規格・品質表示の統一化によって、2016年度には約1500頭だったシカ、イノシシの利用数を、2019年度には4600頭まで増やすことを目指すとしている。このほか、京都府中丹ちゅうたん地区では地元産の野菜とジビエを組み合わせた料理の開発、和歌山県古座川こざがわ町ではアスリート向けのジビエの利用、岡山県美作地区ではペットフードへの利用を拡大するなど、地域の現状や特徴に合わせた方法を各地区で考案している。

近年、農村での鳥獣害の問題が深刻化している中で、ジビエの利用拡大のためには、シカやイノシシの一定規模の処理頭数の確保と、食品衛生管理の徹底が必要となる。このため、今回選ばれたジビエ利用モデル地区では捕獲頭数の拡大や「国産ジビエ認証」の取得、ジビエの処理施設の認定取得などにも取り組むことが課題となっている。

(写真はイメージ)