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約9万年前の骨片から、ネアンデルタール人とデニソワ人の異種交配を特定

約9万年前の骨片から、ネアンデルタール人とデニソワ人の異種交配を特定

シベリアの洞窟で発見された約9万年前の女性「デニー」の骨片をゲノム解析した結果、母親がネアンデルタール人、父親がデニソワ人の異種交配であることが明らかになった。発見したのは、ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所の博士研究員ビビアン・スロン氏。両親が異なるヒト属の種であるハイブリッドが科学者により特定されたのは初めて。8月22日付の英科学誌「ネイチャー」に掲載された。

古代人と現代人の遺伝的変異のパターンを考えると、デニソワ人とネアンデルタール人が異種交配していたことは科学的に予測されていた。しかし、そのようなペアリングから第一世代の子孫が発見されたことはこれまでになかった。

スロン氏の指導教授である同研究所のスバンテ・ペーボ教授は、2008年にシベリアのアルタイ山脈にあるデニソワ洞窟で見つかった小指の骨を解析、これが現生人類でもネアンデルタール人でもない、第3の人類のものであることを2010年に発表していた。この人類は、洞窟の名前にちなんで「デニソワ人」と名付けられた。

一方この洞窟内では、ライオンやクマなどの2000を超える未同定の骨片も見つかっていた。英オックスフォード大学のサマンサ・ブラウン氏が、これらの骨片からヒト属のタンパク質の特徴を持つものを調べ、その中から今回調査したデニーの骨片が見つかった。スロン氏の2016年の論文では、デニーの骨片の細胞内のミトコンドリアDNAを分析した結果、これがネアンデルタール人由来であると発表。しかし、ミトコンドリアDNAは母親からのみ受け継がれるため、父親もネアンデルタール人であるとは限らず、ペーボ教授は、結果を正確に表現する必要があると強調していた。

その後、両親から受け継がれる核DNAについて、そのDNAの変異をネアンデルタール人とデニソワ人とで比較。デニーのDNA断片の約40%はネアンデルタール人のものと一致したが、他の40%はデニソワ人と一致した。スロン氏は、「デニーが両者をほぼ等しい割合で持っていたという結果を最初に示したとき、『ハイブリッド』という言葉がほとんど冗談のように浮かんだことを覚えています。これがエラーではないことを確認するには、実験を繰り返す必要がありました。そのため骨を再度サンプリングし、分析を何度も繰り返し、一貫して同じ結果を得ることができました」と説明している。

ペーボ教授は、ネアンデルタール人とデニソワ人は、出会ったならば容易に交配することができるが、それらの出会いはまれであったと推測。その理由は、ネアンデルタール人の遺跡の多くはユーラシア西部で発見されているが、デニソワ人はこれまで同名のシベリアの洞窟でしか発見されていないためだ。しかし時には、ネアンデルタール人がユーラシア西部からシベリアへ、またはその逆に旅した可能性もある。研究チームでは、デニーのネアンデルタール人の母親と、数千キロ離れたクロアチアのネアンデルタール人との間に密接な関連があると推測している。

画像提供:マックス・プランク進化人類学研究所

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