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MaaSで目指すサステナブルなモビリティ社会 東急・トヨタの取り組み

MaaSで目指すサステナブルなモビリティ社会 東急・トヨタの取り組み

東京急行電鉄(以下、東急電鉄)は10月31日、日本初となる「郊外型MaaS(Mobility as a Service・マース)実証実験」を2019年1~3月に行うと発表した。「次世代郊外まちづくり」のモデル地区である、田園都市線「たまプラーザ駅北側地区」を中心に実施する。

東急電鉄の郊外型MaaSは、「ハイグレード通勤バス」「オンデマンドバス」「パーソナルモビリティ」「マンション内のカーシェアリング」の4つのサービスを組み合わせる。「ハイグレード通勤バス」サービスでは、Wi-Fiやトイレを完備した3列24人乗りのバスで、リクライニングシートで休みながらの通勤が可能。「オンデマンドバス」は、スマートフォンで乗車予約し指定した場所から乗車する。多様な移動ニーズに合わせたモビリティサービスを提供することで、「サステナブルな街づくり」を目指す。

MaaSで目指すサステナブルなモビリティ社会 東急・トヨタの取り組み
画像提供:東急電鉄

MaaSは、フィンランドのMaaS Global 社のCEOであるサンポ・ヒータネン氏等が提唱した概念と言われている。利用者が交通サービスを組み合わせ、使いやすくすることで、自家用車を保有し運転することの代替となりうるサービスを目指す。カーシェアリング、ライドシェアリングの広がり、自動運転技術の発達とあわせて、モビリティ(移動)のサービス化が広まってきた。

フィンランドでは官民学連携で、オープンデータとオープンAPI(アプリケーションプログラムインターフェース)を実現している。MaaS Global 社のアプリ「Whim」は、交通検索した異なる移動手段をまとめた決済や、月額499ユーロ(約6万4475円)を払うと、区間の公共交通、タクシー、カーシェアや自転車といった移動手段が乗り放題になるサービスを提供する。スウェーデンのチャルマース大学の研究者は、サービスの統合の程度に応じてMaaSを4段階に分けているが、「Whim」はレベル3のサービスの統合を実現している。

MaaSで目指すサステナブルなモビリティ社会 東急・トヨタの取り組み
(出典:A topological approach to Mobility as a Service, 2017-11-29)

国内では、トヨタ自動車が1月にアメリカで開催されたCES(Consumer Electronics Show)で、モビリティサービス専用EV 「e-Palette Concept」を出展し話題となった。自動運転の制御システムが搭載されたバリアフリーデザインの空間に、ホテル、リテールショップ、カーシェアリングといったサービスの用途に応じた設備を搭載する。同社は、11月1日に、個人向け愛車サブスクリプションサービス「KINTO」の展開を2019年初めに開始することも発表している。

国や企業のさまざまなMaaSの取り組みによる、サステナブルなモビリティ社会の実現が期待される。

*1ユーロ= 129.21円で換算(11月6日現在)

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画像提供:トヨタ自動車