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広まるジビエ利用 獣害対策の一手となるか【ニュースのコトバ解説】

近年、耕作放棄地の増加や里山の管理不足によって、野生のシカやイノシシが人里に生活範囲を拡大させており、食い荒らされる農作物の被害額は1年で200億円超に上る。こういった獣害対策の一環として国が支援するジビエ利用。ジビエとは、狩猟によって得たシカやイノシシなどの野生鳥獣の食肉を意味するフランス語だ。昨今、若者もターゲットにしたジビエ利用のプロモーションも始まり、今後の動きが注目されている。

 

鳥獣被害の7割を占めるシカ、イノシシ、サル

農林水産省の調べによると、野生獣害による農作物の被害額は2010~2017年まで、ゆるやかな減少傾向にはあるものの、200億円前後で推移している。このうち7割がシカ、イノシシ、サルによる被害で、これに対し被害防止を目的としたイノシシやシカの捕獲頭数は大幅な増加傾向にある。2016年の捕獲頭数はイノシシが年間62万頭、シカは58万頭で、2000年の捕獲頭数と比べると4倍以上増加している。しかし捕獲頭数が増えるのに比例して、処分の負担も増大。このため、シカやイノシシをそのまま捨てるのはもったいないとして「ジビエ」という呼び名で利用する動きが活発化、国をあげてのジビエ振興が進められている。現在、全国でジビエを処理加工できる施設は590施設。2017年度はこれらの施設でおよそ10万頭が処理され、うち約1600トンがジビエとして利用された。ジビエ利用率はシカとイノシシを合わせて約8%で、前年度よりは微増しているものの、農水省では今後のジビエ利用増大を目指して様々な方法で需要の掘り起こしと安定供給に向けた体制作りに取り組んでいる。

 

安定供給に向けてモデル地区選出

農水省は今年3月、安全で良質なジビエの提供を目指してジビエ・モデル地区を選定。北海道から九州まで17地区が選ばれた。これらの地区では捕獲から処理加工、流通・消費までの各過程において、人材の確保、解体処理施設の整備、衛生管理のための認証の新設などを実施してきた。2019年度概算要求における鳥獣被害防止総合対策交付金は122億円を予定しており、地域関係者が一体となった被害対策の取り組みやジビエ利用拡大に向けた取り組み支援を目指すとしている。

 

若者を意識したPR

農水省ではフェイスブックやユーチューブなどでジビエ料理を紹介、ポータルサイト「ジビエト」はデザインを一新し、若者を意識した情報提供を行なっている。

夏と冬には全国でジビエフェアも開催。ジビエ・モデル地区に2地区が選定されている京都府では、12月8日から2019年2月11日まで「第2回森の京都ジビエフェア」を開催し、多くの店舗でジビエ料理を楽しめる趣向となっている。

 

栄養価にも注目のジビエ料理

ジビエの特長はグルメや物珍しさだけではない。シカ肉はカロリーが低く、鉄分も豊富。イノシシ肉は豚肉と比べてビタミンB12が3倍、鉄分が4倍も含まれ、美容と健康に良い食材としても注目されている。また、人が食べる以外にペットフードとしての利用も増えてきており、様々な利用の仕方が検討されている。

農作物の被害軽減のため、獣害対策は欠かせない。問題意識をもって狩猟免許を取る若者や、GPSやドローンなどを用いて獣害の行動調査をする自治体も出始めている。最先端のテクノロジーも取り入れた、ジビエ利用の今後の動きに注目したい。

(写真はイメージ)

 
参考記事
ジビエ利用モデル地区 北海道から鹿児島まで17地区選定(2018/03/14)
ジビエとは? 山の恵みを残らずいただく取り組みが進む(2018/01/15)

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