名古屋港に続き横浜港でもヒアリ確認

名古屋港に続き横浜港でもヒアリ確認

環境省は25日、9月に名古屋港で発見された特定外来生物ヒアリに対する追加調査および防除を実施したと発表した。23日の調査において一定規模のコロニーを形成し、多数の女王アリを含んでいることが確認されたため、殺虫剤を用いた緊急的な防除を実施した。

名古屋港の事例では、12日に名古屋港飛島ふ頭で調査事業者が臨港道路沿いでヒアリと疑わしいアリ300個体以上を発見。15日の調査では道路に隣接する港湾関係事業者敷地内でも400個体以上のアリの生息と土中への出入りを確認。16日にヒアリであると同定された。23日の現地調査では、1000個体以上の働きアリに加え、有翅女王アリ数十個体以上、卵やサナギを含む巣が確認された。

さらに29日には、横浜港での25日と27日の調査において、ヒアリの働きアリ数百個体を確認したと発表した。2017年6月の国内初確認以降、これまでのヒアリの確認事例は2020年9月29日現在で16都道府県、計59事例となった。同省では、確認地点の周辺を徹底して防除し、周辺調査を継続していく。また、事業者などに疑わしいアリを発見した場合に関係機関に速やかに連絡して、取り扱いに相談するように呼び掛けている。

ヒアリの原産地は南米。亜熱帯から暖温帯に生息している。赤茶色の小型のアリで、腹部は濃く黒っぽい茶色。体長は2.5~6mmと個体によって大きさにばらつきがあり、土でアリ塚を作って住む。漢字で「火蟻」と表され、刺されるとやけどのような激しい痛みが生じる。好んで巣を作るのは日当たりのよい開放的な場所で、公園、芝生・緑地、水辺、畑地など。

貨物などに紛れて移動したことで、中国や台湾など環太平洋諸国で分布が急速に広がっている。いったん繁殖してしまうと根絶は困難で、定着初期に徹底した対処を行ったニュージーランドを除いて成功していない。

ヒアリの毒そのものによって死に至ることはないが、アナフィラキシーショックという強いアレルギー反応の症状を起こすことがある。ヒアリが定着した場合には、公園や河川敷でのレジャー利用やガーデニングや家庭菜園などにも支障が出る。ヒアリは農作物をかじって品質や収量を低下させたり、家畜や作業者を襲ったりする。また、電気設備に入り込みやすい特徴を持ち、工場や電力プラント、空港などの電気機器に障害を与える。経済損失の評価事例では、全米で年間60億ドル(約6700億円)と莫大な金額が見積もられている。

今回の名古屋港の事例では日本国内で初めて大きな巣が形成され卵やサナギも確認された。兵庫県立「人と自然の博物館」主任研究員の橋本佳明氏は「台湾で見慣れたヒアリの巣の外観そっくりな土の盛り上がりがあり、すぐにヒアリの巣だとわかった。2017年に神戸港に陸揚げたされたコンテナ内からのヒアリ初侵入を発見して3年、こんな風景を日本で見ることになるとは、懸念はしていたが、なんとも嫌なものだ。今がニュージランドと同様にヒアリ定着を阻止できるかの切所だ」とコメントした。

画像提供:環境省
 

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