メダカの祖先は恐竜が絶滅する前から存在していた 琉球大などが発見

琉球大学、東北大学ら国内外の20の研究機関から成る国際共同研究チームは4日、世界中のメダカ科魚類を収集し、網羅的系統樹の推定に成功したと発表した。それによると、メダカの共通祖先はインド亜大陸に起源して恐竜が絶滅した中生代末の大量絶滅を生き残り、インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突した後にアジアに分布を拡大していったという。研究成果は生物学の学術雑誌「Biology Letters」誌に掲載された。

メダカ科の魚類はこれまでに37種類が知られており、東南アジアを中心にインドから日本列島まで広く分布しているが、その共通祖先がいつどこで誕生したかについては明らかでなかった。

琉球大、東北大、長浜バイオ大、和歌山高専、神戸大、東山動植物園、OIST、農研機構、国際農研、京都大、遺伝研ら国内の13の研究機関、ならびにインド、ベトナム、ラオス、ミャンマー、タイ、およびインドネシアの6カ国7つの研究機関から成る国際共同研究チームは、世界中からメダカ科魚類を収集、遺伝子解析からメダカ科魚類の系統樹を作成した。その結果、西インドのガーツ地方に固有のセトナイメダカがメダカ科魚類の系統進化の中で最も古くに分岐した種であり、その他の種は全てセトナイメダカと姉妹関係にあることがわかった。

さらに化石の情報をもとにメダカ科魚類の分岐年代を推定したところ、セトナイメダカとその他のメダカの共通祖先との分岐は7400万年前の中生代後期に遡ることが明らかになった。この時代はインド亜大陸がゴンドワナ大陸から分離して、インド洋を北上している時代に一致する。恐竜が巨大隕石により絶滅したと言われるのが約6500年前だが、メダカの祖先はそれを生き延びた。インド亜大陸は3300万年~5500万年前にユーラシア大陸に衝突。その後にメダカ科魚類はアジアに分布を拡大していったと考えられる。

日本人に馴染みの深いメダカの祖先が、恐竜が絶滅する前から存在して、大陸の移動と共にやってきたということは感慨深い。またメダカ科が属するダツ目には他にダツ科、コモチサヨリ科、サヨリ科、トビウオ科があるが、これらの多くは海水魚でサンマやサヨリ、トビウオなどの水産重要種が多く含まれる。メダカ科とその他のダツ目との分岐もインド亜大陸で起こったと推定されて、それぞれが淡水と海という異なる環境に生息域を求めるようになったのはなぜか、その解明に向けての道筋が示されたのではないかとしている。

画像提供:琉球大学(冒頭の写真はイメージ)