低圧の液化CO2大量輸送に向けた実証試験船が完成 NEDO

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は11月29日、CO2輸送実証試験船「えくすくぅる」が完成し、命名・引き渡し式を行ったことを発表した。これはNEDOの委託事業である「CCUS研究開発・実証関連事業」の一環で開発されたもので、カーボンニュートラル実現への貢献が期待できる。

CCUSは「Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage」の略で、CO2を分離・回収、利用、貯留する技術のこと。工場や火力発電所などから排出されたCO2が大気中に放出されることを大幅に削減する技術であり、2050年までにCO2の排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するための手段の一つとして注目されている。しかし、CO2の排出地と貯留地・活用地が離れていることが多く、CO2を安全かつ低コストで大量に輸送する技術の確立が課題だ。

NEDOは、工場や火力発電所などから排出されるCO2を、貯留地・活用地まで低コストで大量・安全に輸送するためのCCUS研究開発・実証関連事業を実施し、CO2の液化・貯蔵・荷役および船舶輸送のプロセスを包括した船舶一貫輸送システムを確立するための技術開発に取り組んだ。

その一環として船舶用のCO2カーゴタンクシステムが開発された。これは中温・中圧(-20℃、2MPaなど)から低温・低圧(-50℃、0.6MPaなど)までの液化CO2の積載が可能であり、中温・中圧でのLPG(液化石油ガス)も積載可能な船舶用液化CO2兼LPG輸送用タンクである。

CO2輸送実証試験船「えくすくぅる」では、試験運行後に液化CO2の輸送実証試験を実施する。実証試験では、京都府舞鶴市と北海道苫小牧市の陸上基地間を温度や圧力などを変えた、さまざまな条件で繰り返し輸送する予定。実証試験における液化CO2の低温・低圧状態での船舶輸送試験は世界初の取り組みとのこと。

今後は、実証試験を通じて、安全かつ低コストのCO2の船舶による大量輸送技術を確立し、CO2回収・有効利用・貯留(CCUS)技術を確立していくとしている。

舞鶴基地と苫小牧基地間の輸送イメージ

画像提供:NEDO