移動映画館「キノ・イグルー」の主宰である有坂塁氏は、20年間にわたり無人島や国立博物館など、さまざまな場所で映画を上映し、一期一会の映画体験を提供してきた経験を活かし、本書を執筆した。現代の子どもたちに映画の素晴らしさを伝える一冊だ。
YouTubeやサブスクリプションの普及によって、映画は身近な存在となったが、一方で何を選べば良いか迷う声も少なくない。本書はそのような悩みに対して、“学校をズル休みした日に観る映画”“友達は大事にしろよ”など、筆者がテーマ別に100作品を厳選し、子どもたちにとって映画の道標となるよう構成されている。
筆者が一番大事にしたかったのは、「子どもに合わせて選ぶばかりではなく、映画がその子の個性を引き出してくれる」と信じることだという。一本の映画との出会いで、その後の人生が大きく変化することは起こりうる。筆者自身も10代の時に観た一本の映画で、価値観が一変した経験を持っているそうだ。
本書は単なる映画のリストではなく、映画が持つ力を読者に伝えようとしている。親子で楽しむだけでなく、読者が自身の映画体験を振り返り、新たな発見をするきっかけとなることだろう。
『18歳までに子どもにみせたい映画100』
著者：有坂塁
発行日：2023年12月4日
発売：KADOKAWA