年末年始の健康管理法【前編】~気をつけたい3つの事柄

クリスマスが終わると、あっという間に新年。忘年会、新年会、同窓会など宴会に出るたびに、注意しなくてはと思いつつ、食べ過ぎたり、飲み過ぎたりしてしまった経験も多いかと思う。年末年始のこの時期は、救急車の出動が1年の中で最も多くなる時期である。東京消防庁によると、2014年の出動件数の1位は12月(7万3872件)、2位は1月(6万6653件)。

この時期に多いのは以下が原因となっている。
1、風邪やインフルエンザなどの冬季に流行する病気
2、飲酒に伴う病気や事故
3、餅を喉につまらせたことによる窒息事故
年末年始の健康管理の第一は、この3つを防ぐことである。それぞれの予防ポイントを紹介したい。

1、風邪やインフルエンザの予防
ウイルスが好きなものは低温で乾燥した気候。そして、過労や睡眠不足、栄養不足、暴飲暴食で免疫力が弱った体、抵抗力の弱い乳幼児や基礎疾患のある高齢者である。こういった条件が揃うと、重症化しやすい。

日本では、インフルエンザは例年12~3月頃に流行し、1~2月に流行のピークを迎える。ワクチン接種による効果が出現するまでに2週間程度を要することから、毎年12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましく、今から接種する意味は薄い。そのため、今できる対策は、「毎日丁寧に予防すること」が一番だ。

具体的には以下の通り。
(1)外から帰ったら、丁寧に手洗いとうがいをする。
(2)寝る時と、人の多いところに行く時はマスクをする。
(3)咳やくしゃみをするときは、マスクやティッシュペーパーなどで口と鼻を覆う。
(4)ビタミンCを含む食品をたくさん食べる。
(5)十分な睡眠時間をとる。
(6)週3日はしっとりと汗をかく程度の運動をする。
(7)入浴の最後は水を浴びなどして自律神経を鍛える。
((6)と(7)については、持病のある人は主治医との相談が必要)

2、飲酒に伴う病気や事故
アルコールは嗜好品だと思われているが、実はれっきとした「薬」である。脳の働きを全般的に抑える作用があるので、嫌な感情や考えを手っ取り早く消して幸せな気分になるのに便利である。しかし、薬として認可されてないのは、危険なためであり、たとえば、ほろ酔いの状態となる血中濃度のわずか4倍で死に至る可能性があるのだ。

アルコールの血中濃度と起きること
血中濃度(%) 酩酊度 状態・症状
0.05 ほろ酔い期 気分が高揚し、冗舌になる
0.08 動作が鈍く、協調性が低下する
0.10 酩酊期 千鳥足、ろれつが回らない(協調性が明らかに低下)
0.20 泥酔期 立てない、無理に歩くと転倒して負傷、錯乱
0.30 昏睡期 意識喪失、嘔吐、血圧低下、呼吸抑制
0.40 呼吸停止して死亡

ただし、飲酒を毎日続けると脳に耐性ができるため、大量に飲酒しても、酔いが浅くなる。またアルコールの分解速度も体質によって差があるため、急性アルコール中毒になる飲酒量も人によって大きな差がある。飲み過ぎが危険なことを知らない人はいないだろうが、自分のとっての適量を知らず、あるいは、知っていても、周囲につられて、勧められるままに飲酒すると、たちまち「飲み過ぎ」になってしまうこともある。そのため年末年始、救急病院には酩酊した患者がたくさん来院する。急性アルコール中毒のほか、酩酊して転倒、転落したり、人とけんかして負傷する人が多い。

飲酒に伴う病気や事故を防ぐための具体的な注意ポイントは以下の通り。
(1)酒席に出ない。
(2)酒席に出ても飲酒をしない。
(3)自分の適量を知って守る。
(4)短時間のうちに多量の飲酒(一気飲み)は絶対にしない。
(5)飲酒の無理強いはしない。
(6)泥酔期・昏睡期の人は一人にしない。
(7)昏睡期になったら、早く医療機関に連れて行く。

3、餅を喉につまらせたことによる窒息事故
東京消防庁によると、2014年の輸送人員571人のうち、1位の1月(221人)、2位の12月(76人)の合計で297人と、この2カ月だけで年間の半数を占める。

この事故の予防方法は以下の通り。
(1)餅を食べない。
(2)餅は小さく切って、食べやすい大きさにする。
(3)急いで飲み込まず、ゆっくりと噛んでから飲み込む。
(4)乳幼児や高齢者と一緒に食事をする際は、適時食事の様子を見るなど注意を払う。
(5)いざという時に備え、応急手当の方法をよく理解しておく。

健康管理の第一は予防。何かとイベントの多い年末年始だからこそ、一層、自分の体に意識を向けてほしい。

(写真はイメージ)