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【ニュースのコトバ】共済とは? 農家の収入を守るセーフティーネット

自然災害のリスクを回避する「農業共済」【ニュースのコトバ解説】

今年は度重なる台風や震災、豪雨や洪水被害など、日本全国が数々の自然災害に見舞われた。そんな中、家屋の被害と並んで大きく被害を受けたのが農地だ。収穫間近の水田に亀裂が入ったり、ハウスの鉄骨が強風で曲がったりと、農地のみならず農業施設にも甚大な被害が及んだ。農家は、家屋の被害だけではなく、今年1年間働いてきた農作物も失い、今後の収入源さえも危うい状況に立たされる人も多い。農家には家族経営もまだ多く、農業収入だけで生活している人たちも少なくない。農地が被災した場合、今年の収入はおろか、来年以降の収入も見通しが立たなくなることもある。

しかし、こうした自然災害から農家を守ってくれるセーフティーネットがある。それが「農業共済」だ。このシステムは、農産物が自然災害や市場価格の下落に遭い、農家の収入が減少したとき、国や都道府県、生産者が資金を出し合うことで積み立てた財源で、減少した収入の何割かを補填するというもの。業種によって、茶共済、園芸施設共済などがある。

このような共済の他にも、対象野菜(14品目)の生産者に対して補助金を交付する野菜価格安定制度や、肉用牛肥育経営安定特別対策事業(マルキン)と呼ばれる肉用牛、肉用子牛、肉豚、鶏卵の生産者を対象にした制度もある。こういった補填制度により農家は、自然災害などの農家の努力では避けられない状況での収入減を乗り切ることができるようになっているのだ。

また、農林水産省では2019年度から「収入保険」という新しい制度を始める。この制度では自然災害、価格低下などの農家の収入減少を保障するだけでなく、収穫後の倉庫などに保管中に農作物が被災した場合や、輸出時のレートにかかわる収入減など、今まで保障の対象外だったケースもカバーされる。品目の制限もなく、どんな作物を栽培していても加入することができる。保険料は自動車保険と同じ掛け捨て方式と積み立て方式があり、保険期間の収入が基準収入の9割を下回った場合、下回った額の9割を補填してもらえるという。ただし、共済や野菜価格安定制度等と掛け持ちで入ることはできないため、注意が必要だ。

現在、同省では来年春からの収入保険に加入したい人を募集中。ホームページで従来の共済と比べてどのくらい保険料が安くなるのかなどをシュミレーションできるようになっているので、農家ごとの状況に合わせた加入ができるだろう。

豊かな食の恵みをもたらす農業経営が、自然災害のリスクに脅かされることがないよう、新たな制度が有効活用されることを願う。

(写真はイメージ)