低炭素・省力化の新コンクリートを開発 東京理科大ほか

東京理科大学は7日、CO2排出量を削減し施工の省力化を実現できるコンクリート「ハイプロダクリート」を、東急建設と共同で開発したと発表した。

コンクリートは、石灰石や粘土を高温で焼いた後に粉砕して作られる「普通ポルトランドセメント」に、水・砂・砂利などを混ぜて製造される。この製造過程には熱エネルギーが必要で、石灰石の熱分解で多量のCO2が発生することが課題となっていた。

コンクリート分野での低炭素化の実現には、普通ポルトランドセメントの一部を混和剤と呼ばれる別の材料に置き換えることが効果的だ。今回開発されたものは、一般的な新設の土木構造物のコンクリート工事を対象として、よく使われる混和材である高炉スラグ微粉末を70~80%置き換えた。これによってCO2排出量削減の他に、流動性がやや高くなるため施工性が向上するという利点もある。

実構造物を模擬した壁部材による施工実験の結果、従来のコンクリートと比較してCO2排出量は最大で73%削減され、施工時間は58%削減される効果を確認した。構築した壁は、表面気泡や色むらも少なく良好な状態だった。

今後は、本年度中にハイプロダクリートを現場に適用するとしている。また、用途に応じたラインナップを増やしていく予定だ。

ハイプロダクリートの外観
構築した壁部材の出来栄え(左側:従来のコンクリート 右側:ハイプロダクリート)

画像提供:東京理科大学(冒頭の写真はイメージ)