スライムの触感を科学的に分析 10m以上伸びるスライムの作成に成功

高エネルギー加速器研究機構(KEK)と総合科学研究機構は8月28日、多摩六都科学館との共同研究で、スライムの触感を科学的にアプローチし数値化したと発表した。KEKが報告書を公表した。

日本での一般的な手作りスライムは、洗濯のり(ポリビニルアルコール)にホウ砂を加えたもので、ぷにぷに・のびのび・どろどろといった独特の触感をもち、おもちゃや科学工作として広く親しまれている。しかし、科学的には「スライム」という言葉には明確な定義はなく、物理的な性質も十分に解明されていなかった。

研究グループは、「超延伸性スライム」の物性を定量的に明らかにする研究を行った。「超延伸性スライム」はポリビニルアルコールやグアーガムをベースにしたスライムにホウ砂、グリセリン、木工用ボンド、糖類、微粒子などを加えて「のびやすく」したものだ。

研究グループは、スライムの「やわらかさ」や「のびやすさ」を科学的に定義し、数値化を試みた。スライムの物性を物質の流動と変形を扱うレオロジーの研究手法で分析し、また核磁気共鳴(NMR)で分子構造を解析した。その結果、スライムの材料による物性の変化が以下のように明らかにされた。

植物由来の高分子グアーガムにホウ砂を添加することで、外力により10m以上伸びるスライムを作成することができた。また、グリセリンを添加すると柔軟性・弾力性・剥離性などが向上し、木工用ボンドを加えると粘弾性が低下し、ちぎれにくくなった。グリセリンの代わりにグルコースなどの糖、木工用ボンドの代わりにガラスビーズを加えても同様の結果が得られた。

科学館の学芸員が抱いた疑問に、KEKなどの日本を代表する研究機関の研究員が本気で答えてみたという今回の研究。身近な疑問を科学的に掘り下げることで、新たな知見が得られる結果となった。

スライムの様々なふるまい

写真提供:高エネルギー加速器研究機構(冒頭の写真はイメージ)