【ノーベル賞2025】北川進氏らが受賞 新しいタイプの構造体MOFを開発

スウェーデン王立科学アカデミーは8日、2025年のノーベル化学賞を、金属有機構造体(Metal-Organic Frameworks, MOF)の開発に貢献した京都大学の北川進特別教授、メルボルン大学のリチャード・ロブソン名誉教授、カリフォルニア大学のオマル・M・ヤギ教授の3氏に授与すると発表した。

MOFとは、有機物と金属イオンが相互に結合して三次元的な格子構造を形成した多孔性の化合物の構造体だ。規則的に配置されたナノメートルサイズの無数の細孔を持ち、その細孔に小分子を取り入れることができる。さらに細孔の構造をデザインして機能性を持たせることが可能である。この特性を利用して、ガス貯蔵、CO2の捕捉、化学反応の触媒などさまざまな応用が研究されている。この技術によってエネルギー、環境、医療分野など、現代社会の諸問題に対する新たな解決策を提供する可能性が高い。

ロブソン氏は、1970年代にこのような構造の理論的可能性を最初に提案した。1990年代に入ると、ヤギ氏が初めて安定で実用的なMOFを合成し、その構造と特性を詳細に明らかにした。一方、北川氏は、柔軟で動的なMOFを開発し、これらの構造が外部刺激に応じて形状や特性を変えることを示した。

賞金1100万スウェーデンクローナ(約1.4億円)は、受賞者3人に均等に分配される。

参考記事
混合ガスからCO2のみを吸着する新素材を開発 京大(2023.08.07)

画像提供:スウェーデン王立科学アカデミー