
カルシウムの資源循環を見える化、脱炭素社会構築へ 東大など
東京大学は3日、日本国内のカルシウムの量や流れを調査し、都市の建物や道路に蓄積されたカルシウムが約55億トンに達することを明らかにしたと発表した。これは国内の石灰石など天然資源の埋蔵量(約46億トン)を上回り、都市そのものが「巨大な資源の貯蔵庫」となっている可能性を示している。この研究成果は、資源循環や環境政策を扱う国際学術誌に発表された。
カルシウムはセメントの主成分であり、建設業には欠かせない資源だ。しかしセメントを作る際には、石灰石を分解する工程で大量の二酸化炭素(CO2)が排出される。このため建設分野は、産業分野の中でもCO2排出量が多く、温暖化対策が求められている。
東京大学と清水建設の研究チームは、2020年時点の日本を対象に資源の採掘から材料の生産、建物への利用、廃棄や再利用まで、カルシウムの流れを数値化した。その結果、日本では年間約6090万トンのカルシウムが使われ、その約77%が建設分野に使用されていることが明らかになった。多くは建物や道路として数十年使われるが、将来の解体時に回収・再利用できれば、資源の節約とCO2削減の両方につながる。
今回の研究では、セメント製造などCO2排出が多い工程に関係するカルシウムの流れも特定された。これにより、解体したコンクリートからカルシウムを回収して再びセメント原料に使う「水平リサイクル」など、どの方法が最も効果的にCO2排出削減につながるかを科学的に評価できるようになる。
政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現には、建設分野の脱炭素化が欠かせない。研究チームは、都市に蓄積された資源を活用することで、循環型社会と温暖化対策の両立につながる可能性があるとしている。

画像提供:東京大学(冒頭の写真はイメージ)

