初期宇宙に成熟銀河の可能性 JWST観測で議論再燃

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測で、宇宙誕生から間もない数億年の時期に、すでに大きく成熟した銀河が存在していた可能性が再び注目されている。この問題は2023年前後にも、JWSTの初期観測データをもとに、初期宇宙に予想以上に発達した銀河が存在する可能性として指摘されていた。当時は観測例が限られ不確実性も大きかったが、2026年4月に複数の論文が相次いで公表され、議論が一段と進んだ。

JWST支える国際運用体制

JWSTは米航空宇宙局(NASA)を中心に、欧州宇宙機関(ESA)、カナダ宇宙庁(CSA)が共同で運用している。観測データの管理や配布は米国の宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)が担っており、同研究所はJWSTに加えハッブル宇宙望遠鏡の運用にも関わっている。研究は米欧を中心とする大学や研究機関が主導しているが、日本を含む各国の研究者が参加する国際共同研究として進められている。

従来理論を揺さぶる大質量銀河の発見

従来の宇宙論では、宇宙誕生から数億年程度の初期段階では、小さな天体が合体しながら徐々に銀河が成長すると考えられてきた。しかしJWSTの観測では、この段階に、理論の想定よりも重く、星形成をほぼ終えた大質量の銀河や、円盤状の構造を持つ整った銀河が報告されている。前者は新たな星の誕生が少ない「静止銀河」で、早い段階で星形成が進んだ可能性を示すものであり、後者は銀河の形がすでに安定した構造に達していたことを示唆する。2023年前後の指摘を受けた観測や解析の積み重ねにより、従来の想定より進んだ銀河の形成を示す結果が複数の研究で示され、初期宇宙の進化が従来より速かった可能性が強く示唆された。

宇宙初期の銀河形成解明へ期待

今後は、ユークリッド宇宙望遠鏡(ESA)による広域観測や、アルマ望遠鏡(日米欧共同)の電波観測、さらにナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡(NASA)などと組み合わせることで検証が進むとみられる。JWSTの継続観測と国際的な研究の蓄積により、宇宙初期の姿がより明確になっていくとみられる。

写真はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による深宇宙観測(JADES)で捉えた遠方銀河群。宇宙誕生から間もない時期の銀河の研究に用いられている(NASA、ESA、CSA提供)