
グリーン水素で還元鉄の試作に初めて成功 製鉄のCO2削減へ前進
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7月31日、再生可能エネルギーで製造した「グリーン水素」を使い、還元鉄を試作することに日本で初めて成功したと発表した。鉄鋼業は国内の二酸化炭素(CO2)排出量の約14%を占めるとされ、脱炭素化が課題となっている。今回の成果は、CO2排出を大幅に抑える次世代製鉄技術の実用化に向けた一歩となる。
鉄鋼は自動車や建築、インフラなど社会を支える基幹材料だが、現在主流の高炉による製鉄では、鉄鉱石から酸素を取り除くために石炭由来のコークスを使用する。この過程で大量のCO2が発生するため、製鉄業は国内有数の温室効果ガス排出産業となっている。
そこで注目されているのが、水素を使って鉄鉱石を還元する「直接水素還元法」だ。水素を還元剤として使うと、鉄鉱石中の酸素と水素が反応して水が生じるため、CO2排出量を大幅に削減できる可能性がある。特に、再生可能エネルギーで製造したグリーン水素を利用すれば、還元鉄の製造工程全体の環境負荷をさらに低減できる。
今回の実証では、山梨県の施設で太陽光などの再生可能エネルギーを利用して製造したグリーン水素を千葉県のJFEスチール東日本製鉄所へ運んだ。同製鉄所の直接還元試験設備で鉄鉱石を還元した結果、6月29日から7月1日にかけて約1トンの還元鉄を製造した。グリーン水素を使っても、安定した還元反応が可能であることを確認した。
今回の成果は、水素の製造と製鉄技術を別々に開発するのではなく、実際に連携させて還元鉄の製造まで実証した点に意義がある。今後は試験設備の大型化やコスト削減を進めることで、実用化への道筋を探るとしている。
一方で、実用化には課題も残る。大量のグリーン水素を安価に供給する体制の整備に加え、既存設備の転換や、製鉄工程で発生するCO2の回収・利用・貯留する「CCUS」など、関連技術の開発も必要だ。
NEDOや製鉄各社は2035年ごろまでの技術確立、2050年のカーボンニュートラル実現を目標に開発を進める方針。日本の基幹産業である鉄鋼業の脱炭素化に向け、今回の成果は実用化への節目となりそうだ。


画像提供:NEDO(冒頭の写真はイメージ)

