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姫路城 400年の間、一度も戦禍にまみえなかった白亜の城

11月最初の週末、姫路城を訪れた。天に向かってそびえる白く輝くこの城は、白い鷺が舞い立つようにも見えることから別名「白鷺城」とも呼ばれている。2015年に平成の大修理と呼ばれた大天守の保存修理を終え、3月27日にグランドオープンしてからは、ここを訪れる人々の足が絶えない。

姫路城は不戦の城とも呼ばれている。1609(慶長14)年に建築されてから過去400年の歴史の中で、一度も戦いにまみえることがなかった。幕末に新政府軍に包囲され、第二次世界大戦で二度の空襲にあい、姫路の町は焦土となるが、姫路城は奇跡的に生き残った。その結果、天守閣や櫓、門などの保存状態が非常に良く、他では観ることのできない遺構も多い。貴重な文化遺産であることが認められ、1993年日本で初めて世界文化遺産に登録された。

日本で最高峰の木造建築であり、世界でも類を見ない美的完成度とされている。その美しさの象徴が、白漆喰総塗籠造(しろしっくいそうぬりごめづくりという工法でつくられている外壁だ。これは消石灰、貝灰、すさ、海藻などを材料とする古代から継承した伝統工法で、薄く何度も塗り重ねることで、厚さ3cmにもなり、この壁が火災や風雪から城を守ってきたのだという。

澄み渡る青空の中に輝く白亜の美しい城。背負ってきた歴史の重みを知っているのは、この空だけだ。

姫路城 400年の間、一度も戦禍にまみえなかった白亜の城
平成の大修理を終えた、大天守に向かう人々