衛星軌道上に史上初の宇宙国家「アスガルディア」設立計画

ウィーンにある航空宇宙国際研究センター(AIRC)創設者である、ロシア国籍のイーゴリ・アシュルベイリ氏は、12日、パリで記者会見を開き、衛星軌道上に「アスガルディア」という史上初の宇宙国家を設立する計画を発表した。国名は古代北欧神話に神々の国として登場する、空中都市「アスガルド」にちなんだもの。地上の各国家の法律の制約からは独立して運営され、将来的には国連への加盟をめざすという。

公式サイト(http://asgardia.space/)から、自分の名前とメールアドレス、国籍を登録すれば、18歳以上であれば誰でもアスガルディア国民になることができる。登録数は、発表から40時間も経たない14日に10万人、17日に40万人、20日の午前10時半(日本時間)には約44万7千人に達した。国別では、中国から最も多い約12万人が登録し、次いで米国から約5万人、トルコから約3万4千人、ブラジルが約2万1千人、英国が約1万9千人、イタリアが約1万8千人、インドが約1万人となっている。日本からの登録人数は3562人で24位。現在、公式サイトでは、同国の国旗、記章、国歌の公募も行っており、締切日はいずれも2017年1月20日。

アシュルベイリ氏によると、アスガルディアには哲学、法律、科学技術の3つの柱がある。哲学面では「アスガルディアの本質は宇宙の平和、宇宙に拡張されている地球の紛争の予防にある」という。法律面では「今日、宇宙法に関する問題の多くは解決されていない。約200の国家が地球上にあるが、わずか20カ国だけが宇宙に存在を示している。彼らは宇宙での鉱物資源の独占を主張していくだろうが、許可されるべきではないと思う。新しい宇宙法は、地球上のすべての人々に均等な機会を保護すべきだ」と述べている。

また、科学技術では、「第一に、宇宙の平和利用を確保すること。第二に、宇宙の脅威から地球を保護すること」としている。宇宙の脅威としては、磁気嵐を引き起こす太陽フレアに伴うプラズマ、地球の効果的な保護層を破壊する地球の磁気圏の変化、潜在的に危険な小惑星や彗星、人工衛星の破片など軌道上の宇宙ゴミ、太陽放射線に起因する気候の変化、超新星などによる宇宙放射線、そして隕石などに付着した微生物による地球への感染の危険性の7つが挙げられている。そして「第三に、宇宙での知識の非武装と自由な科学的基盤を作成すること。これは現在、宇宙へのアクセス権を持っていない国々、特に発展途上国に無料でのアクセスを提供する」と語った。

アスガルディアは、1つまたは複数のコア衛星と、それらをつなぐネットワークの中心となる小型衛星の群れ、保護された宇宙プラットフォームの3つのセグメントで構成される予定だ。最初のプロトタイプ衛星は、2017年から2018年に打ち上げが予定されている。

画像提供:航空宇宙国際研究センター(AIRC)

 
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