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古くて新しい感染症レプトスピローシス(ワイル病)が東北で再発生

 東北大学の研究グループは、宮城県で1970年代以前によく見られ、一旦は収まっていた感染症・レプトスピローシス(ワイル病)が、近年、東北地方で再発生していたと発表した。
 将来東北地方でレプトスピローシスが再流行する可能性も懸念され、今後、津波を含む災害が発生した際、急性腎障害・熱性疾患が見られた場合は、レプトスピローシスの可能性も考慮して病原体を注意深く検査する必要があるとしている。
 レプトスピローシスは、我が国に古くから存在する人獣共通感染症で、重症型はワイル病として知られ、急性腎不全、肝不全、脳症などを起こし死に至ることもあるという。感染原は感染したラットなどの動物由来の尿で、それがヒトに経皮的に感染すると考えられている。温暖化による洪水などで増加し、世界保健機関(WHO)によれば、代表的な災害感染症で2009年にはマニラの洪水のあとに大流行したという。災害時に被災者は自然界に近い生活を強いられ、動物などとの接触が増えるためだ。
 宮城県では1959年に大流行し、800人以上が発症したが、その後は、農業の機械化や衛生面の改善により、患者数は激減した。しかし2012~2014年の間に、4例の感染者の報告があり、今後、東北地方でこの病気が再燃する可能性もあると懸念している。