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長崎・天草の潜伏キリシタン、世界遺産に 2世紀以上信仰を伝える

長崎・天草の潜伏キリシタン、世界遺産に 2世紀以上信仰を伝える

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は6月30日、キリスト教禁教の歴史を伝える「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎県、熊本県)を世界文化遺産に登録することを決定した。日本の世界文化遺産登録は18件目、自然遺産も含めた登録は22件目となる。

潜伏キリシタン関連遺産は、日本にキリスト教が伝来した16世紀半ばから、キリスト教及び宣教師が禁教により迫害を受けた時代、その後禁教が公的に解かれキリスト教の信仰が復活した、17~19世紀の歴史を表す。この期間密かに信仰を守っていた「潜伏キリシタン」は、既存の社会や宗教に表向きは合わせながら信仰を守り続け、独自の信仰の様相を築いていった。この期間の日本人キリシタンおよび外国人宣教師への迫害により、日本の殉教者数はローマに次いで世界で2番目に多い。

潜伏キリシタン関連遺産は、長崎県及び天草地方に存在する10の集落と1つの城跡及び1つの聖堂の、合計12の構成から成り立つ。「島原・天草一揆」の主戦場となった原城跡(長崎県南島原市)や、現存する国内最古の教会である大浦天主堂(長崎市)などを含む。ここは潜伏キリシタンが2世紀ぶりに外国人宣教師と出会い、奇跡の「信徒発見」の舞台となった場所だ。

文化遺産の登録可否を事前審査するユネスコの諮問機関、国際記念遺跡会議(イコモス)は、同遺産について「潜伏キリシタンが密かにキリスト教の信仰を継続し、長崎と天草地方の各地において厳しい生活条件の下に、独自の文化的伝統を育んだことを物語る貴重な証拠」と述べている。