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世界初 植物ミトコンドリアのゲノム編集に成功 新品種育成などの応用に期待

世界初 植物ミトコンドリアのゲノム編集に成功 新品種育成などの応用に期待

東北大学の風間助教、玉川大学の肥塚教授、東京大学の有村准教授らの研究グループは、植物のミトコンドリアのゲノム編集に成功したと発表した。近年ゲノム編集技術の発展がめざましいが、植物のミトコンドリアでの成功例は今回が初めて。今後、基礎研究の発展と農業生産分野や新品種育成等での応用が期待される。論文は8日付の「Nature Plants」に掲載された。

人が普段食べているイネやトマト、キャベツ、ダイコンなどの野菜の多くは、2つの異なる品種を交配して作られている。このような交配は「丈夫」「たくさん実をつける」「ストレスに強い」などの農業上有用な特徴を備えた品種を生産するための古くから行われている方法で、花粉を作らない「細胞質雄性不稔性」という特徴を持つ母親品種を利用することで、効率化が可能になる。しかし、細胞質雄性不稔性の詳しいメカニズムは、ミトコンドリアゲノムの改変技術が確立されていなかったため、今まで明らかにされていなかった。

同研究グループは今回、ゲノム編集技術の一つである「TALEN」を応用して、植物ミトコンドリアDNAの特定の位置を切断することに成功。この技術を使ってイネとナタネの細胞質雄性不稔性の原因とされる遺伝子を切断したところ、これら植物の花粉機能が回復し、種子を実らせた。つまり、切断した遺伝子が、それぞれの植物の細胞質雄性不稔性の原因遺伝子であることが証明された。

今回成功したミトコンドリアゲノムの改変技術によって、今後、詳細なメカニズムの解明が進み、農業生産分野や新品種育成等での応用展開が期待される。

(写真はイメージ)