VRシステムで消防隊員の教育訓練 東大など共同開発

VRシステムで消防隊員の教育訓練 東大など共同開発

横浜市消防局、東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター、東京理科大学理工学部建築学科、技術商社の理経は19日、消防隊員の教育訓練に特化したバーチャルリアリティ(VR)システムの共同開発を連携して行うと発表した。2020年度中の完成を目指す。

全国の消防本部の傾向として、知識や経験を積んだベテラン消防隊員が減少し、経験の浅い若年層の消防隊員の割合が急速に増加している。その一方で火災件数は毎年減少傾向にあって、消防隊員が火災現場で経験を積むことが難しくなっているという背景がある。そこで新たに開発するVR消防教育訓練シミュレーションシステムを活用して、実際の現場に近い環境下で訓練をすることによって殉職や受傷事故を防止し、消防活動の質の向上を図ることを目的としている。

共同研究開発では、東京理科大が火災燃焼研究を行う。実際に建物室内を燃焼させて火災を起こし、熱の分布、煙の移動、火災の挙動などを測定。時間経過とともに推移していく火災現象を科学的に再現できるようにする。

東大バーチャル教育研究センターではVRの開発を行う。消防隊はチームで行動するため、それぞれの隊員の視点を維持しながらチーム単位で活動できるようシステムを構築する。VR空間内で複数人の活動データを記録しておくことで、訓練実施後に反省点を確認することや経験値の高いベテラン隊員の行動を追体験することが可能になる。また、どのような感覚情報をもとに判断し行動しているかを、実火災と同様の感覚を再現できるデバイスを用いてシミュレーションしていく。

測定したデータをVRに移行してシステムを開発するのは、国内で初めて。さらなる展開として、今回の開発成果をもとに多様な現場環境を再現していく。また、力、振動、動きなどを与えることで皮膚感覚フィードバックを与える、ハプティクスという触覚技術など最先端の要素も取り入れるという。

(写真はイメージ)