クマムシが過酷な環境下でも生き延びられるメカニズムを解明 分子科学研究所など

分子科学研究所は4日、基礎生物学研究所、生理学研究所、名古屋大学、慶應義塾大学との共同研究によってクマムシの乾燥耐性メカニズムを解明したと発表した。この研究成果は日本時間4日にオープンアクセス学術誌「Scientific Reports」に公開された。

クマムシは水分を失うと乾眠と呼ばれる状態に移行して生命活動を一時停止する。この状態では極低温や真空といった過酷な環境においても生き延びることができるうえ、乾眠状態のクマムシに給水すると、復帰して代謝を再開することができる。これらのことから「地上最強生物」とも呼ばれるクマムシだが、その乾燥耐性の仕組みについてはほとんど明らかにされていなかった。

分子科学研究所の加藤晃一教授らの研究グループは、クマムシの細胞内に豊富に存在するCASH1というタンパク質に着目。水溶液中のCAHS1タンパク質を薄い状態から濃い状態へと変化させた際の分子の構造や集合状態の特徴を調べた。

CAHS1タンパク質は濃度が高くなると自然に集合してファイバーを形成し、最終的にゼラチンのようなゲルを形成することがわかった。こうしたゲルやファイバーは水で薄めると消失し、もとの溶液の状態に戻った。

またCASH1タンパク質を大腸菌の細胞内に作り出したケースでも、人由来の培養細胞の中に作り出したケースでも同様の振る舞いが見られた。

この研究により、クマムシの細胞内のCAHS1タンパク質が乾燥耐性に大きな働きをしていることがわかった。同グループによると、クマムシの乾眠機構のみならず、生命の環境適応の戦略を理解するうえで重要な手がかりを与えるものになるのではないかと期待されるとのこと。

画像提供:分子科学研究所(冒頭の写真はイメージ)