• Local
  • 地域を活性化させ豊かな日本に

ご当地自慢を探せ!(35)茨城の郷土料理、あんこう鍋

冷えた体を芯から温めてくれる鍋料理が欠かせない冬の季節。この寒い時期に旬を迎える「あんこう」を使った「あんこう鍋」は冬のごちそうの一つだ。

あんこうは、「西のふぐに東のあんこう」と並び称される高級魚。なかでも茨城のあんこうは、江戸時代には水戸藩から将軍家への献上品とされていたという。

北海道から九州にかけて、日本海側や太平洋側の広い範囲で水揚げされるが、とくに有名な産地は福島県から茨城県にかけての常磐沖。旬は11月~3月ごろの寒い冬の時期だ。

食用のあんこうは「キアンコウ」と呼ばれる種がほとんどで、大きいものは全長1m以上になる。深海100400mの砂泥や、小石の多い海底に生息する深海魚で、体が平たく口が大きい独特のビジュアルで知られる。俗に「ちょうちん」と呼ばれる頭についた誘引突起で、小魚を誘って水ごと呑み込む。

あんこうは全身がゼラチン質で柔らかく、まな板の上では切ることができない。そのため「あんこうの吊るし切り」といって、高くつり上げておいて切り下ろして調理する。また、捨てる部位がない魚としても知られており、皮・ひれ・えら・肉・胃袋・肝臓(あん肝)・腸は「あんこうの七つ道具」と呼ばれる。身は85%以上が水分でできていて低カロリー、皮はコラーゲンが豊富で、非常にヘルシーな魚だとされている。

 

あんこうのどぶ汁(冒頭の写真)は、生のあん肝を鍋で乾煎りして味噌とだし汁を加えた、濃厚な漁師鍋。「あんこうの七つ道具」がすべて味わえる。
あん肝は「海のフォアグラ」とも呼ばれ、DHAなどを多く含み、肥満抑制や動脈硬化・脳血管病などの予防に効果的と言われる。

【参考文献】
『食の百科事典』
『広辞苑』
『日本大百科全書』