常識を覆す花粉症治療?! コメで免疫療法

 毎日食べるおコメで花粉症を治療できる時代が来るかもしれない?! 常識を覆す治療法が第39回日本角膜移植学会で発表された。発表者の福田憲氏(高知大学医学部)によると、「遺伝子組み換え技術で、スギ花粉症の抗原だと免疫系が誤解するようにしたコメをマウスに食べさせると、花粉症が軽くなった。」という。
 アレルギー原因物質である抗原に体質を慣らす「免疫療法」は、花粉症の唯一の根治療法であるが、年単位の期間が必要なため、継続できない人が多く、継続できても根治率は4割程度のため普及していない。免疫療法をするには、副作用を起こさないように改良した大量の抗原が、毎日摂取するものに含まれているのが理想的だ。毎日食べるコメは、理想的な免疫療法の材料となる可能性を秘めている。
 日本人の花粉症患者は年々増加している。1998年に国民の20%だったのが、2008年には30%に達し(鼻アレルギー診療ガイドライン2013年版による)、国民病となっているが、未だ治療法の決定打はなく、春はどこにいっても、マスクの花が咲き、くしゃみの音が鳴り響いている。国民病の治療に、国民的な食材であるコメを利用するという試みには、実用化への大きな期待がかかっている。