人工知能技術で自閉症発見へ 東大医学部ら研究グループ

東京大学医学部附属病院の八幡憲明研究員、笠井清登教授や国際電気通信基礎技術研究所の森本淳室長らの研究グループは14日、自閉症特有の脳回路の動きを高精度で判別する人工知能技術を開発したと発表した。

発達障害の一つである「自閉症スペクトラム症(ASD)」の状態を判別する手法はこれまで存在せず、生物学的・脳科学的に根拠のある診断や治療は困難だった。今回、同グループは最先端の人工知能技術を用いてASDに特徴的な脳内の動きを少数発見し、国と人種に関係なくASDを発見できるようになった。

今後、人工知能技術をASD以外の発達障害や精神疾患に応用しながら生物学的観点から疾患メカニズムを解明し、臨床診断の実現が期待される。

ASDは100人に1人に起こる発達障害で、当事者は学校や社会において周囲とのコミュニケーションを築きにくく、その経験から生活の質の低下を招くこともある。現在のASD診断は問診や行動観察に頼っているため、診断までに時間と手間がかかる。さらに発達障害や精神疾患との鑑別が難しい場合も多かったため、今回の人工知能技術によるメカニズム解明に期待が集まっている。

同研究は、14日 10:00(英国時間)に英科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に掲載された。

人工知能技術で自閉症発見へ 東大医学部ら研究グループ
[画像提供:株式会社国際電気通信基礎技術研究所]

 
(冒頭写真はイメージ)

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