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【寄稿コラム】ドイツ―難民支援の現場から(4)-難民受け入れに不協和音 右派ポピュリストの躍進

2015年、ドイツは当初の予想をはるかに超える100万人以上の難民を受け入れた。それにともない、受け入れ先となった都市および自治体などの現場からは、許容量の限界を訴える声が挙がり、新たな難民用住宅の建設計画には近隣住民らが敏感に反応した。言葉も文化も宗教も、そして価値観も異なる難民の人たち。彼らがドイツですぐに、生活の軸となる生業を持つことも容易でない。難民を取り巻く社会の空気がくすぶり始めたとき、ケルンである事件が起こった。
 

ドイツでは大晦日、人々は年越しパーティーで大騒ぎし、カウントダウンに合わせて外に出て花火を上げるのが通例だ。特に大都市では中心部に大勢の人が集まり、アルコールが入っていることもあってやや危険な高揚感に包まれる。そんな中で2015年の大晦日、ケルンで事件は起こった。その場にいた女性たちが、男性の集団に取り囲まれて体を触られたり、財布を盗まれたりという事態が多発し、その被害届は600件以上に上った。しかも容疑者の大半がモロッコやアルジェリアなど北アフリカ出身者で、中には難民申請者もいた上、さらにこのニュースが、事件から1週間経って初めて報じられたこともスキャンダル性を高めた。

これを受けて、ドイツ人全体の難民受け入れに対する空気に変化が生じる。1月16日に発表された公共放送ZDFの意識調査で60%が「大勢の難民申請者にドイツは対応できない」と回答。ちなみにこの意見は2015年12月の時点では46%だった。

「私の町にも難民宿泊施設があって、未成年者の男の子ばかりが保護されています。正直、怖くて私も私の友達も、施設には近寄らないようにしています。私の友達で、施設にいる難民の男性につきまとわれて怖がっている子もいます」

ドイツ・アウグスブルク近郊に住む高校生のユリア(18)はそう語る。難民問題について、友達とどんな話をするの? と尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「どうして彼らは、私よりいいスマートフォンを持っているんでしょうか? なぜ私たちの税金で、彼らが遊び暮らしている間も生活費を払わなければいけないんでしょうか?」

こういった不安や不満を訴える声は、3月にドイツ国内3州で実施された州議会選挙に大きく反映された。バーデン=ヴュルテンベルク州、ラインラント=プファルツ州、そしてザクセン=アンハルト州のすべての州で、右派ポピュリスト政党のAfD(ドイツのための選択肢)が大躍進を遂げ、議席を獲得。AfDは明確に移民排斥、反イスラムを打ち出していている政党で、この選挙結果はドイツ社会全体に大きな衝撃を与えた。

メルケル首相による難民受け入れ政策は、非現実的で寛容すぎるのか? この問いかけを、難民支援の現場でぶつけてみた。(続く)

 
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