
飲み込み型カプセルセンサ開発、消化管検査への応用に期待 慶応大など
慶應義塾大学と電気通信大学は23日、砂糖などの可食材料のみを用いた飲み込み型カプセルセンサを開発したと発表した。胃や腸などの消化管の簡易検査に利用できることが期待される。この研究成果は国際学術誌に発表された。
消化器の病気の早期発見や予防・治療のための新たな医療機器として、口から摂取し体内を移動できる小型デバイスの研究が進められている。しかし、デバイスが消化できない物質でできていると、消化管のトラブルによって体内に滞留した場合に、開腹などの大規模な施術が必要となるリスクがある。これを解決するため、体内で消化できる材料のみを用いた可食センサの開発が進められている。
研究グループは可食材料のみを用いた、電波を等方向に反射するセンサを開発した。砂糖を立方体形状に成型し、その表面にスターチペーパー基板および金電極を作製することで、センサが体内で様々な方向に回転しても、どの方向からでも等しく安定して電磁波を反射できるようにした。このセンサは体内で消化・分解されるため、体内での滞留のリスクは極めて低い。
さらに、消化管の状態の検知への応用を想定し、薬剤カプセルにセンサを封入した可食カプセルセンサを作製し、カプセル表面に胃酸で溶けず腸液で溶ける特殊なコーティングを施した。このセンサについて体内の環境を模倣した消化試験を行ったところ、胃酸を模した試薬に漬けた後にも電磁波を計測できた。一方で、腸液を模した液体に漬けた後にはセンサはすべて溶解して電磁波は計測できなかった。
この研究によって、可食材料のみで構成したセンサによって、体内で多方向へ回転することに影響されない無線情報送信が可能であることが明らかになった。今後は、センサが体内のどこにあるかを検出する機能を導入して、体内の具体的な状況をワイヤレスに検出できるシステムの実現を目指すとしている。

画像提供:電気通信大(冒頭の写真はイメージ)

