日本生態学会、特定外来生物ヒアリ侵入対策の要望書提出

日本生態学会、特定外来生物ヒアリ侵入対策の要望書提出

日本生態学会は14日、特定外来生物ヒアリの侵入対策に全面的に協力するとの会長メッセージを発表し、政府に緊急的および継続的な対策に関する要望書を提出した。生態学会からの要望事項は、発見初期段階における徹底的な防除、新たな侵入に備えた体制の構築の2項目。継続的なモニタリングの実施を合わせて求めている。

今年6~7月にかけて国内各地で相次いで確認されたヒアリは、世界の侵略的外来生物ワースト100にも掲載され、国内への侵入が最も懸念される生物の一つ。人体に危険を及ぼし人々の生活に大きな影響を与えること、農業や畜産業に甚大な被害をもたらすこと、電気設備に入り込みやすい特徴から工場や電力設備、空港などの機器に障害を与えることが懸念されている。

要望書に書かれた発見初期段階での対応と継続的なモニタリングについては、ヒアリに汚染された地点で半径100m程度の範囲で薬剤によるアリの駆除のほか、ヒアリのコロニー形成には半年から数年かかると言われることから数年間にわたってモニタリングすることなどが盛り込まれている。また、これまでの実践成果や学術的知見を活用して関連する行政機関および研究機関での連携を図ることも含まれる。新たな侵入に備えた体制の構築としては、今回と同じような貨物による侵入が繰り返される前提で、侵入の早期発見と拡散防止の仕組みを検討する専門家会議の開催を提言している。

また、侵入リスクが低い地域で十分な調査をしないうちに薬剤による駆除を行なうことは、在来種のアリや捕食者となる節足動物を駆逐することでヒアリや各種害虫の大量発生を引き起こすことがあるため、確認のもとで冷静に対処すべきだとしている。

(写真はイメージ)

参考記事
特定外来種ヒアリについて各機関が参考サイト(2017/07/12)
特定外来生物ヒアリ、尼崎に次いで神戸で確認(2017/06/19)

 
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