スパコン「京」が2つの性能ランキングで世界第1位

理化学研究所(理研)と富士通が共同開発したスーパーコンピュータ「けい」が、国際的なスパコン性能ランキングのHPCG(High Performance Conjugate Gradient)とGraph500でそれぞれ世界第1位を獲得した。今回の測定には、「京」が持つ全計算ノード8万2944台が用いられた。米国のソルトレイクシティで13~18日に開催された高性能計算技術に関する国際会議SC16で発表された。

HPCGは、産業利用など実際のアプリケーションで用いられる共役勾配法の処理速度を競う国際的なランキングで、2014年から発表されている。「京」は前回のランキング(6月)では2位だったが、今回初めて1位となった。

一方、Graph500は、ビッグデータ解析で重要となる大規模なグラフの解析性能に関する国際的なランキングで、2010年から発表されている。このランキングでは、「京」は4期連続(通算5期)で1位を獲得している。なお、1993年から発表されている、規則的な行列演算である連立一次方程式を解く計算速度で評価するTOP500で「京」は7位となった。

今回、HPCGにおける測定では、逐次実行していた演算を同時実行させることで単位時間当たりの演算回数を増やしたことで、602.7 TFLOPS(テラフロップス)という高いベンチマークのスコアを達成。TOP500で1位の中国「神威太湖之光」は371.2 TFLOPS、同2位の中国「天河2号」は580.0 TFLOPS、同3位の米国「タイタン」は322.3 TFLOPSだった。

HPCGを提唱したジャック・ドンガラ博士は、「『京』がHPCGで1位を獲得したことは、浮動小数点演算性能とメモリ転送性能のバランスが非常によく、広い分野の科学計算アプリケーションで非常に高い性能を発揮できるアーキテクチャであるということを示している」とコメントした。

また、Graph500は計算速度だけでなく、アルゴリズムやプログラムを含めた総合的な能力が求められる。約1兆個の頂点を持ち16兆個の枝からなる大規模グラフに対する幅優先探索問題を0.45秒で解き、ベンチマークのスコアは3万8621 GTEPS(ギガテップス)。不規則な計算が大半を占めるグラフ解析においても高い能力を示した。中国の「神威太湖之光」が2万3756 GTEPSで2位、米国の「セコイア」が2万3751 GTEPSで3位に入った。

「京」は、国際共同研究グループによる「ポストペタスケールシステムにおける超大規模グラフ最適化基盤プロジェクト」と「EBD:次世代の年ヨッタバイト処理に向けたエクストリームビッグデータの基盤技術」の2つの研究プロジェクトによって、アルゴリズムおよびプログラムの開発が行われている。2014年6月に1万7977 GTEPSを達成してGraph500で1位を獲得した後も、アルゴリズムの改良により2倍以上性能が向上し、2015年7月に3万8621 GTEPSを達成し1位になった。

画像提供:理化学研究所(公式サイト

 
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