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【コラム】変わる「エコ」、関わり方多様に アースデイ東京 

【コラム】変わる「エコ」、関わり方多様に アースデイ東京 

4月22日のアースデイに合わせ、東京・代々木公園でも啓発イベント「アースデイ東京」が開かれた。「地球環境について考える」というと、以前は日本ではなく遠い国の環境保護を考えたものだが、今は「身近な行動から変えていく」という考えの転換が起こっているようだ。企業の社会貢献活動が普及しているだけでなく、投資信託運用会社、電力会社、銀行の選び方でさえも「エコ」に貢献できるようになっている。

食と農、経済、エネルギーがテーマ

アースデイは日本では1990年から毎年各地で開催されており、東京では22日に代々木公園で開かれた。今年は「Lifestyle Shift, NOW! 未来を創ろう!」と題し、「農と食」「経済」「エネルギー」が大きなテーマだった。このテーマに沿って、会場には多様なブースが立ち並び、訪れた人たちは思い思いに自分の気になるブースをのぞいていた。出展している団体は環境系のNPOだけではなく、一般企業、大学、市町村など多様で、いろいろな視点から「地球について考える」ことができるイベントになっていた。記者は以前このイベントにボランティアとして参加したことがあり、今回およそ8年ぶりに訪れた。

まず最初に目を引いたのが協賛・協力出展企業による社会貢献活動の紹介ブースだ。イオンは1989年から「イオン1%クラブ」という取り組みをしていることを紹介。税引き前利益の1%を拠出し、次世代を担う青少年の育成や諸外国との友好親善の推進、地域社会の持続的発展のためにさまざまな取り組みを行っていることをパネルで展示していた。また、東京メトロは子供が遊びながら学べるコーナーを設け、分かりやすく環境への取り組みを紹介した。

エコ考える取り組みは多様に

新鮮だったのは投資とエネルギーに関するブースだ。さわかみ投信は、より豊かな社会を創造することを目的に長期投資をする会社。一般的な投資では、景気が悪くなり株価が下がった会社には投資はしないが、同社は株価が下がって大変な企業にこそ投資をして支えていくというコンセプトで投資をしている。短期的な金額面だけの損得で考えるのではなく、長期的に見て社会が豊かになるように投資をするという。お金を預かる投資家にもそのコンセプトを理解したうえでお金を預けてもらうそうだ。

GREENaは、「グリーン電力証書」を購入した顧客に対して、毎月「自然エネルギー100%」の証明書を発行。その収入で自然エネルギーの発電所を支援するという取り組みをしている。また「口座を変えると社会が変わる」という理念で、地球にやさしい銀行を探そうと呼びかける取り組みもある。「My Bank My Futureキャンペーン」は日本の民間企業の多くが特定の化石燃料や原子力関連企業への融資をしていることを問題視し、それらに融資していない銀行を選ぶことでお金を預けるという行動から地球にやさしくしよう、と呼びかけていた。

また、次世代を担う子どもたちのことを考えた企画も多かった。今年のアースデイの企画の一つ「1000人子供食堂」は、何らかの理由により満足なご飯が食べられない子どものために安い料金で食事を提供する取り組みで、今日本全国で広がっているという。今回は無料で1000人分の食事を18歳以下の子どもたちに提供した。また、会場のあちらこちらで子どもが体験できるワークショップも行い、子どもが楽しみながら地球のことを考えるきっかけを提供していた。

行動変えるきっかけに

「地球環境について考える」というと、フェアトレードや熱帯雨林の保護など「海外の自然を守る」というコンセプトの取り組みがこれまで目立っていたように感じる。しかし今はそれだけではなく、地域おこし、銀行選び、電力の選択など、より自分の生活の中で地球のことを考えるきっかけができつつあるようだ。このようなイベントでは、さまざまな価値観に触れることができ、自分がまだ気づいていなかったアプローチで行動を変える機会にもなるだろう。

今回およそ8年ぶりの参加だったが、以前と変わっていた点がいくつかあったように感じた。その一つは来場者の様子だ。以前は自然色の服や麻・木綿製の服、カラフルな民族衣装など、一目で「環境問題に興味がある」のであろうと思われる人たちが多く見受けられた。しかし今回は、個人から家族連れ、老若男女、幅広い年代の人たちで会場はにぎわっていた。アースデイを長く続ける中で、ある特定の問題意識を持った人たちだけが訪れるイベントではなく、興味を持ったすべての人が訪れるようになったようだ。

ただ以前と変わらないのは、ゴミの分別とゴミ拾いを積極的に行っている若者たちの姿だった。このような地道な活動を続けることが人々を動かす原動力となるのだろう。

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