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ASEAN進出の日本企業は1万1328社 タイが最多

帝国データバンクは17日、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国に進出している日本企業に関する調査結果を発表した。ASEANに進出している日本企業は1万1328社であることがわかり、進出国別では、タイが最も多く4788社、次いでシンガポール(2821社)、ベトナム(2527社)となった。同社のASEAN全域を対象とした調査は初めて。

1位となったタイに関して同社は、自動車産業を中心に産業集積が厚いこと、既に進出している日本企業が多いこと、中国で経済活動を行うことに伴うリスク(チャイナリスク)の表面化により、中国近隣諸国に進出先を分散させる傾向があることなどを要因として挙げている。

増加が目立ったのはベトナムで、2012年にベトナム進出企業のみを調査した時から63.9%増加したという。ミャンマーは民主化以降、進出先として注目が集まるが、インフラ整備が途上であり、政情不安定だったこともあり、286社にとどまった。複数国に進出している企業は2823社で、進出国の組み合わせで最も多かったのは「インドネシア・タイ」(324社)だった。

業種別では、製造業(4925社)と卸売業(2825社)が最も多く、この2つで全体の約7割を占めた。国別に業種細分類を見ると、インドネシアでは「自動車部分品・付属品製造業」がトップ、タイとマレーシアでは「電気機械器具卸売業」がトップとなり、同3カ国では自動車・電気関連産業を中心とする製造業が総じて上位に入った。ベトナム、フィリピン、ミャンマーでは「受託開発ソフトウェア業」がトップとなり、各国へのICT産業の進出も目立った。

進出企業の本社所在地を都道府県別に見ると、東京都(3908社)、大阪府(1462社)、愛知県(1004社)で1000社以上となった。都道府県内のASEAN進出企業の割合が全国の割合より高かったのは、この3都府県に加え、神奈川県、長野県、静岡県、岐阜県、京都府となり、中部・近畿地方に集中した。

<文化・商習慣の理解がカギ>
同社は、昨年12月のASEAN経済共同体の発足により、ASEAN全体を一つの生産拠点として捉える動きが加速し、域内で分散して進出する動きが活発になる可能性を指摘している。また一方で、ASEANではさまざまな文化的背景を持つ国々が集うため、文化や商慣習といった環境の違いへの理解がカギとなることも述べている。

<現地拠点数ではインドネシアが最多>
同調査は、2016 年4 月末時点の企業概要データベース「COSMOS2(約146 万社)」、信用調査報告書ファイル「CCR(約170 万社)」などをもとにしている。現地企業への出資、現地法人や関係会社・関連会社の設立・出資、駐在所の設置などを「進出」の基準としている。

一方、海外進出日系企業の調査は他に、外務省が行う「海外在留邦人数調査統計」がある。これは、日本国内に本社がある企業の海外支店や駐在員事務所・出張所、そして現地法人化されている日系企業といった、現地の拠点数を計上したもの。そのため、出資のみの場合は計上されない。2014年時点の同調査では、インドネシアに進出している日系企業の拠点数が1766拠点でASEANでは1位(世界4位)となっている。次いで世界6位から9位にタイ(1641拠点)、フィリピン(1521拠点)、ベトナム(1452拠点)、マレーシア(1347拠点)が続いている。

 
(写真はイメージ)

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