地球温暖化、35地域で半数の生物が絶滅の危機 WWFが警鐘

地球温暖化、35地域で半数の生物が絶滅の危機 WWFが警鐘

世界自然保護基金(WWF)は、地球温暖化によって21世紀の末までに、アマゾン、ガラパゴス、マダガスカルなど35の地域で、半数の野生動物が絶滅する可能性があると発表。野生生物保護の観点からも温室効果ガスの大幅な削減が必要だと警鐘を鳴らしている。

WWFによると、効果的な温暖化対策が行われずに地球の平均気温が4.5度上昇した場合、調査対象となった約8万種の生物のうち、およそ半分が絶滅する可能性があるという。また、平均気温の上昇を2度未満に抑えたとしても、対象地域で野生動植物の25%が絶滅するおそれがあると分析。2015年12月に国連気候変動会議(COP21)で採択された「パリ協定」での世界目標が平均気温の上昇を2度未満に抑えることだが、これを達成しても大きな打撃を受ける可能性があるとしている。

一方、気温が上昇しても移動可能な経路や環境が存在する場合には、上昇気温が4.5度の場合では絶滅の比率が50%から40%に、2度の場合は25%から20%に低下すると予測。また、野生生物の生息地がどれくらい維持されるか(維持率)については、4.5度では18%、2度では56%となった。

これらの結果を受け、WWFは国際社会に対してさらなる温暖化対策の推進と、自然環境の保全に向けた取り組みを求めるとしている。

同調査はWWFが英イースト・アングリア大学に委託したもので、3月14日付の学術誌『クライメート・チェンジ(Climate Change)』に掲載された。調査対象となった35地域は、WWFが貴重な生態系が残る優先的に保全すべき場所として選定した地域。

(写真はイメージ)
 

参考記事
メコン川流域の新種115種、多くが絶滅の危機 WWF(2017/12/24)