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「挑戦」の醍醐味 FUTUREWOODS 小浜勇人さん

「挑戦」の醍醐味 FUTUREWOODS 小浜社長(1)リセットして新たに学ぶ勇気

NEWS SALT特集インタビュー/株式会社FUTUREWOODS 代表取締役 小浜勇人社長

2年前に独立。自身が立ち上げた会社「FUTUREWOODS(フューチャーウッズ)」では、データ解析や人工知能(AI)などの先端分野を新たなフィールドに選び、挑戦を続けている小浜勇人こはま はやとさん。豊富な社会経験を通して培われた、そのたたずまいは柔らかく、ユーモアがあり温かだが、一方で「自分が主体者として、先頭を切って関わりたかった」と語る言葉に挑戦者の顔をのぞかせる。システム開発とメディアプロデュースという全く異なる職種を経験し、49歳で退職・起業した経緯やご自身のキャリアについて伺った。
 

――FUTUREWOODS(フューチャーウッズ)という社名の由来を教えていただけますか?

社名には、未来とか先々というイメージと、植物を入れたいと思っていたんです。それは先に決めていました。植物の生命力というか。植物って、冬には一見枯れたように見えるけど、夏になると一回り大きくなって目の前に現れてきますよね。そういう未来に向けたたくましさとか、広がりみたいな意味合いを込めて、1つにくっつけた造語にして「フューチャーウッズ」にしました。僕が勝手に考えて決めて、みんなには「こうしたからよろしくね」って(笑)。

――2年前に起業されたとのことですが、どのように事業を始められたのでしょうか?

データ解析とかAIとかIoT(モノのインターネット)といったことが好きだったので、そこから始めました。営業領域のマーケットの視野を知るのが面白そうだったので、そちらの方に広げつつ、アイデアが浮かんだところから順番に進めてきた感じです。今の事業の内容はデータ解析系の事業とロボットアプリ開発事業、FutureSearch(フューチャーサーチ)というウェブサービスのBtoB(Business to Business)サービスの3つで、中でも最近はFutureSearchサービスの機能開発のウェイトが高まっていますね。

――会社を立ち上げられた際、今の事業内容では前職での経験を生かされていますか?

それがそうでもないんですよね。自分のキャリアを大きく二分すると、新卒で就職して、前半はシステム開発、後半はメディアプロデュースを主軸にしていたんです。同じ事業部の中で人事から始まって、営業や企画、色々な役職を回って、その後に5年くらい技術開発に専念していた時に、人事異動でメディア系の責任者を探しているという話を貰って、メディアの方に移りました。それまで10年以上、技術開発をしていたところから突然メディアに入ったので、転職したような感覚に近かったですね。今までやってきたこととまったく違う分野なので。例えば、メディア会議に最終決定者として出るんですけど、あれは結構大変でしたね。最初は全然分からないから、まさに薄氷を踏む思いでしたよ(笑)。そこでメディアの作り方とかを色々勉強しました。システム開発をしていた20代前半から40歳までの17、8年と、メディア系に異動した40歳から会社を辞めるまでの10年間くらいが、僕のキャリアの前半後半に分かれているような感覚です。

――意外ですね。つまり、これまで経験を生かしてキャリアアップしてきたというよりは、リセットの連続だったということでしょうか?

そうですね。システム開発でキャリアが積み上がっていたところを異動でリセットされて、またメディア系で積み上げていったのを、今度はある意味自分でリセットして、今また、という感じでしょうか。キャリア的には非連続になるので、それまでのリソースがあんまり使えないから、毎回また一から始めることになるんですけど、そこが面白いところなのかもしれないですね。今やっている人工知能やデータ解析も、私自身実は未知の領域だったので、本を読んで勉強しましたし、他のスタッフが先生になってくれています。

――今はキャリアの第3部といったところでしょうか。ちなみに起業されたきっかけは? 前社でやり切ったという思いがあったのですか?

いやあ、やり切ったというのはないですね。一つ挙げるとするなら、作り続けたいというか、形にし続けたいというか。かっこよく言うと、チャレンジし続けたいという思いが強かったんです。会社で長くなると、自分が直接先頭を切って何かをやるというよりはバックに回って支援する側、つまり「最終ジャッジはするから、みんな頑張れよ」という立場になる訳なんですけど、僕はそれがあんまり面白くなかったんですよね。自分が主体者として関わっていたい、先頭を切って関わってみたいという思いがどんどん強くなってきました。会社を辞めたのは49歳で、年齢的、時間的なことを含めて、やるなら早ければ早い方がいいと考えて辞めることにしました。ただ起業当時、僕は作りたいって思いはあったけど、何かこれを作り上げたいという「これ」があるわけではなかったんです。初めは教育に関わる部分で何かを作りたいと思ったんですけど、最初少しやってみて違うなと感じました。それで、その時に声をかけてもらったこともあって今の事業につながることを始めたんです。これからやってみたいことは多いですが、最近は開発とデータ解析の方でいっぱいですね。

「挑戦」の醍醐味 FUTUREWOODS 小浜社長

――最近のお仕事について質問させてください。開発やデータ解析の事業によりシフトされてみて、いかがですか?

技術にしても、それを適用するシーンにしても、今まで触れてこられなかったものに触れられるので面白いですね。例えばデータ解析では、今まで扱ってきた位置情報や製品情報以外に、最近はSNSのデータなど新しいデータが出てきています。お客さまの課題をどうやって解決するかという話し合いの中に、それを加えることで、今までとは全然別の見方ができたり、別のことが分かったりします。ウェブサービスの方では、ネットの中で企業情報を収集して、その情報を組み合わせるということをやっていますが、その組み合わせ方も色々なバリエーションが見えてきています。今はまだできていないことも多いですが、今まで見えなかったものが見えたり、できなかったアプローチができたり、可能性は広がっていく分野だと思います。こうやったら面白いだろうなというのは色々と見えているので、問題は、そこに達するまで僕らの体力が持つかという所ですね(笑)。気力、資本力を含めて。

――どれくらいのスパンで何をやるかなど、具体的に決めていらっしゃるんですか?

そうですね、今は時代的に変化が大きすぎて、これから3年後とかを考えてもあまり意味がないように感じているので、「ここ何カ月はこうして行こう」と集中して、特化して進めています。今はロードマップを引くよりは、今できることを最大のスピードでやって、どこまでできるのかっていう感じですね。いつどこが自分たちの競合になるか分からないし、マーケットそのものが、いつどうなるか分からないですからね。世の中も変わっていくので、今、自分が何をやるのかといえば、やれることをやるしかないということかとも思います。

――ご自分の経験を踏まえて、特に社員の方たちに求めていることは何でしょうか?

今は「100年人生」と言われている時代でもあるので、社員の人たちには、とにかく勉強してくれと話しています。自分を磨くことをしてほしいと。社員の人たちも、必ずしもずっと同じ会社に居続ける訳じゃないだろうから、勉強していかないと会社としても弱くなるし、多分個人としても先々困ってしまうと思うので。オフィスに本棚があるんですが、良いと思った本はそこに置いて、誰でも読めるように全部共有しています。勉強することは別に仕事に関することだけじゃなくていいんです。あとは、こういうテーマで勉強したいことがあれば、お金はないんですけど、申請してもらえれば支援してあげたいと思っています。まだ実際には申請が来てないんですけどね(笑)。

(後編に続く)