明治大学とキリンが電気の力で塩味を増強する食器「エレキソルト」を共同開発

キリンは7日、減塩食品の塩味を約1.5倍に増強させる電流波形を明治大学と共同開発し、その技術を搭載したスプーンおよびお椀型のデバイス「エレキソルト」を開発したと発表した。

またキリンはこのデバイスと減塩食をセットで提供して満足度を評価する実証実験を、減塩専門店「無塩ドットコム」を運営するノルト、および暮らしに関する情報を発信するオレンジページと共同で9月から開始する。「エレキソルト」デバイスは2023年の販売を目指すという。

日本人の1日当たりの食塩摂取量は20歳以上の男性で10.9g、女性で9.3gと、WHO(世界保健機関)が掲げる食塩摂取基準と比較して非常に多い。近年は健康のための減塩に意識が高まっているが、キリンが20216月に首都圏在住の人を対象として実施したアンケートでは、塩分を控えた食事を行っている/行う意思のある人のうち、約5割が味に対する不満を抱えているという結果があった。

明治大学とキリンの研究グループは、人体に影響しないごく微弱な電流を用いて疑似的に食品の味の感じ方を変化させる「電気味覚」に着目、減塩食の味わいを増強させる独自の電流波形を開発した。臨床試験の結果、減塩食を食べたときに感じる塩味が約1.5倍程度に増強されることを世界で初めて確認した。

その技術をスプーンおよびお椀型のデバイス「エレキソルト」に搭載。スイッチを入れて通常のもののように使用すると、スプーンの先端やお椀の内部から微弱な電流が食品に流れて効果を発揮する。味噌汁や吸い物を飲むときや、ラーメン・うどんの取り分け用の器としての使用を想定している。

今回の実証実験は、ノルトとオレンジページの会員から募集して911月にかけて実施する予定。有用性を検証した後、2023年の日本国内での販売を目標としており、このデバイスを通じて美味しく生活習慣の改善ができる社会の実現を目指すという。

 

画像提供:キリン